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　岸田文雄首相は28日、首相官邸で毎日新聞などのインタビューに応じ、防衛費増額に伴う増税の開始前の衆院解散・総選挙について「可能性としてあり得る」と述べた。ただ、衆院選の日程は「何も決めていない」とし、2023年中については「今のところ考えていない」と述べた。1月下旬の通常国会召集前の内閣改造は「現在、頭にない」と否定した。

　首相は27日のBS―TBSの番組で、増税について24年から27年までの適切な時期に始めると説明し、「それまでに選挙があると思う」と発言していた。仮に24年からの増税開始となれば、23年中の解散・総選挙が視野に入る。首相は28日、「こうした重要課題の実行の前に選挙をやるか、後にやるかはいろんなケースがある。いずれにせよ、選挙の時期（の決定）は首相の専権事項だ」と述べ、発言を後退させた。

　首相はまた、世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の解散命令請求の可否の判断に関して「あらゆるルートで実態把握に努める」との考えを示し、「できるだけスピード感を持って取り組む」と語った。

　来春の統一地方選を巡っては「経済対策や地域の活性化、新型コロナウイルス対応なども議論の俎上（そじょう）に載ってくるのではないか」との見方を示した。

　新型コロナ対策を巡り、中国からの入国規制を強化する日本政府の水際対策については「（中国の感染状況が）分からないと日本国民も不安だろうから、政府が責任をもって確認し、対応する」と語った。【中村紬葵】

経済、少子化　歴史的な転換点

　岸田文雄首相の28日のインタビューでの発言要旨は次の通り。

　＜時代認識＞

　安全保障やエネルギーだけでなく、経済も少子化も今、歴史的な転換点を迎えている。だからこそ、逃げることなく立ち向かう。並行して国民の審判も仰がなければいけない。そのタイミングについては首相の専権事項だ。

　＜増税時期と衆院解散＞

　防衛財源の確保に向けた税制措置は2027年度に向け複数年かけて段階的に実施していく。衆院の任期満了は25年10月だ。税が上がる前に選挙を行う可能性はある。来年の選挙は考えていない。選挙日程はまだ何も決めていない。

　＜内閣改造＞

　通常国会が始まる前に内閣改造をすることについては、今現在は頭にない。

　＜日米首脳会談＞

　訪米日程を調整中だ。米国が（安全保障関連3文書の改定など）日本の対応を高く評価している中での訪米となる。日米同盟の対処力、抑止力強化で地域の平和と安定を維持していく思いを確認する機会にしたい。日米ガイドライン（日米防衛協力指針）については（改定するか否か）今何も決まっているものはない。

　＜保守とリベラル＞

　宏池会（岸田派）はリベラルだと言われてきたが、最も現実的な政策は何なのかを追求するのが宏池会の伝統だ。今の厳しい安全保障環境の中で何が必要かを徹底的に追求しなければならない。（保守とリベラルの）両方がいがみ合っていては国民の安心につながらない。それぞれの良さを尊重しながら政治を動かしていく。そのバランス感覚や安定感が、国民の安心につながるのではないか。