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　プロ野球・北海道日本ハムファイターズによる新球場「エスコンフィールド北海道」を含む一帯地域「北海道ボールパークFビレッジ」が2023年3月、北海道北広島市に開業する。球団が新たな「街」をデザインする国内でも珍しい試みで、地元も盛り上がる。だが、ベースボールが発祥した米国を眺めると、球場を中心としたまちづくりは一般的。取材を進めると、日本の球団運営が時代遅れになっている実情が見える。【谷口拓未】

アンテナショップやキャンプ施設も

　森林と調和した緑豊かな街に小川が流れる。水辺にプライベートビラ、産品が並ぶアンテナショップや飲食店が入る商業施設があり、住民や訪れた人たちが思い思いの時間を過ごす。さらに、グランピング施設で大人がたき火やバーベキューを楽しみ、広場で子どもが駆け回る――。その中心にあるのが球場。エスコンフィールド北海道だ。

　22年11月下旬に球団の許可を得て小型無人機で上空から工事中のFビレッジ一帯をのぞくと、着々と街が造られていく様子が分かり、開業後に広がるであろう多様な人々が行き交う光景を想像できた。球場の完成式は1月5日に開かれる。

　敷地は約32ヘクタール。東京ドーム7個弱が収まる広大さを誇る。敷地内ではマンションの建設も進み、23年1月1日から地域の住所が「北広島市共栄」から「北広島市Fビレッジ」になることも大きな変化だ。

　疑問が一つ浮かぶ。球団はなぜ野球にとどまらず、新たな事業へ参入したのか。

　球団取締役の三谷仁志さんに尋ねると、日本と世界の常識の差を説明してくれた。「スポーツと『何か』を掛け合わせ、いかに社会的なインパクトを与えて拡大するかというのが、国際的に一般化しています。北海道は観光、食、自然、そして、スポーツがある。掛け合わせれば社会や経済に貢献できる。打ち出したのがボールパーク構想でした」と言う。

経済効果は6788億円　「楽しみ方の選択肢多く」

　人口が減少し、娯楽は多様化している。球場のみで発展を遂げるには限界が来ていることもあって、野球に興味がない人をも引きつける数々のエンターテインメントの提供で、発展を目指そうというわけだ。さらにFビレッジをきっかけに北海道への来訪者の増加や関連ビジネ…