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　福岡県大任町が2021年夏以降、入札契約適正化法で義務付けられている、公共工事の入札結果の公表をしていないことが5日の町議会12月定例会最終日の一般質問で取り上げられた。国や県は町の対応を問題視しているが、永原譲二町長（69）＝5期目＝は「法令違反は認識しているが、町民の生命を守る責務がある」などと答弁し、非公表を当面続ける考えを示した。【荒木俊雄】

　入札契約適正化法は、談合など不正行為の排除や公正な競争の促進、適性施工の確保などを目的に制定。国や地方自治体などの発注者側に、工事の契約内容や入札の参加業者と入札額、落札業者と落札額などを公表するよう義務付け、ほとんどの自治体は役所の掲示板やホームページなどで誰もが入札結果を閲覧できるようになっている。

　だが、大任町は21年7月以降、これらの情報を公表していない。ネットメディアは21年6月に17～21年の5年分の入札結果の情報公開を請求したが、「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす」として非開示決定が出されたという。

　5日の本会議で、次谷隆澄副議長は「（暴力団などを恐れた）町内の業者から『入札結果を公表しないでほしい』と要望されたとのことだが、事実か。要望書があれば出してほしい」などと質問。これに対し永原町長は「法に抵触することは承知しているが、犯罪予防のため、苦渋の決断で非公表にした。状況が改善すれば直ちに公表する」と答弁。その上で「関係機関には相談しているが、要望書は公表できない」と述べ、非公表の理由についての具体的な説明もなかった。

　国土交通省は入札結果の公表や適正な予定価格の設定など、入札契約適正化法で義務付けられた事項で未実施の点の速やかな是正を、6月1日付で各地方自治体に通知している。

　斉藤鉄夫国交相は10月28日の記者会見で「非公表は法律違反で改善の必要がある。大任町にも個別に連絡しており、改善に向け取り組むとの回答をもらっている」と説明。服部誠太郎知事も11月8日の会見で違法との認識を示し、永原町長が非公表の理由としている反社会的勢力の存在については「町内の県発注工事では、暴力団関係者から不当な要求があったとの通報は確認していない」と述べた。

　同町は、21年9月に情報公開請求できる人を「何人も」から「1年以上住む町民」に条例改正した他、町議会では22年3月まで6年半にわたり一般質問が実施されないなど、町行政の情報公開のあり方を疑問視する声が出ている。